圧空成形は、プラスチック成形のなかでも高精度・高生産性を実現しやすい工法として、多くの業界で注目されています。
一方で、真空成形との違いやそれぞれの特徴が曖昧なままでは、どのように使い分ければ良いのか判断が難しいのも事実です。
圧空成形は真空成形と同様に、シート状の樹脂を金型に押し付けて成形する工法ですが、圧力を併用することで成形精度が上がり、量産性も高いという特長があります。
本記事では、圧空成形と真空成形の比較ポイント、そして圧空成形がもたらす具体的なメリットや効果について掘り下げます。
さらに、圧空成形や真空成形を外注する際に注目すべき優良業者選びのポイント、当社が提供できるサービスやサポート体制についても詳しく解説します。
圧空成形への理解を深め、より良い成形加工のパートナーを見つけるためのヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。
圧空成形とは?真空成形との比較ポイント

圧空成形と真空成形は、いずれもシート状の樹脂を加熱し、金型に合わせて成形する工法です。
しかし、圧力をどのようにかけるかという点で大きな違いがあります。
ここでは、圧空成形の特徴と真空成形との比較ポイントを整理してみましょう。
圧空成形の特徴
圧空成形は、加熱した樹脂シートを金型にセットしたあと、圧力を活用してシートを金型に押し付けるように成形します。
多方向からの空気圧がかかることで、金型の細部まで正確に成形できるのが特徴です。
また、シート厚みや形状、素材によっては成形しづらい複雑な凹凸部分も、圧空を加えることでしっかり樹脂を密着させられます。
これにより、量産性が高く、製品品質を均一化しやすいという強みを発揮します。
真空成形との違い
真空成形では、金型側に空気を吸引する穴を設け、主に金型内の空気を抜く力(負圧)で樹脂を引き寄せます。
それに対して圧空成形は、金型との間に生じる空気を吸い出すだけでなく、反対側からも空気圧をかけることで、より強力な力で樹脂を押し付ける点が大きな違いです。
真空成形も比較的コストが抑えやすく、金型構造もシンプルになりやすいですが、複雑な形状や肉厚のパーツを安定して大量生産したい場合は、圧空成形が適する場合があります。
また、圧空成形のほうが成形時間を短縮できる場合もあり、トータルの生産効率アップが期待できます。
圧空成形のメリット5つ

ここからは、圧空成形が持つ主なメリットを5つに絞って解説します。
真空成形との比較ポイントはもちろん、圧空成形ならではの効果も具体的に見ていきましょう。
メリット1:高精度な仕上がり
圧空成形の最大の魅力の一つは、精密なディテールを再現しやすいことです。
圧力を利用してシートを金型に強く押し付けるため、細かな凹凸やエッジの再現性が高く、出来上がる製品の外観や寸法精度を向上できます。
真空成形との比較では、金型にかかる圧力の違いから、製品のバラつきを減らし、同じ形状を大量に作る際に品質のばらつきが少なくなる点が優れています。
メリット2:短い成形サイクルによる生産性向上
圧空成形では、成形時の圧力が高いため、シートの金型への馴染みが早く、成形時間の短縮につながります。
結果として、連続成形においてサイクルタイムを抑えることができ、大量生産にも向くのが特徴です。
また、短いサイクルで高品質の製品が得られるため、製造コストの削減や納期の短縮も期待できます。
メリット3:複雑形状や肉厚部品への対応力
金型の奥まった形状や局所的に厚みが必要な箇所を成形する場合、真空成形では負圧だけではどうしても素材の偏肉が発生しやすくなります。
一方、圧空成形はシートのすみずみまで空気圧が行き渡るため、複雑な形状でも均一にシートを密着させやすいです。
その結果、製品全体の肉厚分布をより安定させ、大きな段差がある部品や深いポケット形状にも対応しやすくなります。
メリット4:軽量化とコスト削減の両立
圧空成形は圧力を利用するため、比較的薄いシートでも形状をしっかり出すことが可能です。
そのため、製品自体の軽量化がしやすく、輸送コストや取り扱いの負担を抑えられます。
また、同じ強度を得るために必ずしも厚い材料が必要とは限らないため、材料コストの節約にもつながります。
真空成形との比較でも、圧空による補助があるおかげで、素材選択の幅が広がる点がメリットです。
メリット5:量産とカスタマイズの両立
プラスチック成形において、量産対応力とカスタマイズ性は重要な要素です。
圧空成形は高い生産性を持ちながらも、金型設計の工夫やシート厚の調整によってカスタマイズにも柔軟に対応できます。
金型そのものを複雑に作ることも可能で、一定ロット数の繰り返し生産から特別仕様の少量生産まで、幅広いニーズに合わせやすい点は大きなメリットと言えます。
圧空成形に期待できる効果と活用事例

圧空成形がもたらすメリットを理解したところで、具体的にどのような効果が得られ、どのような業界・製品で活用されているのかを見てみましょう。
圧空成形の効果
- 製品品質の均一化
圧力によって安定的に成形できるため、同じ金型を使用する限りは製品ごとのバラつきを最小化できます。 - 生産コスト・時間の削減
成形サイクルが短縮されるだけでなく、適切なシート選択で材料費の削減も狙えます。 - 製造プロセスのシンプル化
真空成形に比べて複雑形状にも対応しやすく、後工程での手直しが減るケースが多いです。
圧空成形を活用した具体例
- 自動車部品
ダッシュボードや内装パネルなど、形状にこだわりがあるパーツや意匠性が求められる部分で活用されるケースが多いです。 - 家電製品の外装 家電のカバーや筐体は、デザイン性と量産性を両立させる必要があるため、圧空成形が適しています。
- 医療機器・ヘルスケア関連
様々なサイズや形状に対応できる上、肉厚コントロールもしやすいため、保護カバーやトレイの成形に用いられます。 - 物流容器・搬送トレイ
軽量化と堅牢性を両立しやすく、形状に応じたカスタマイズができるため、多品種少量生産でも活躍します。
圧空成形・真空成形を任せるならどこ?優良業者を選ぶ3つのポイント

圧空成形のメリットや効果を最大限に引き出すためには、信頼できる業者選びが欠かせません。
ここでは、圧空成形や真空成形を外注する際に、押さえておきたい3つの選定ポイントを紹介します。
ポイント1:設計段階からの総合的なサポート力
真空成形との比較を踏まえたうえで、自社の製品に本当に圧空成形が適しているのか、設計初期段階から相談できる業者は心強い存在です。
形状設計・金型製作・試作・量産までを一貫して対応しているかどうかが大きな判断基準になります。
また、成形だけでなく、製品使用時の強度・耐久性についてのアドバイスが得られる業者も検討すると良いでしょう。
ポイント2:試作から量産まで対応できる設備・技術力
圧空成形は真空成形と異なり、必要な設備やノウハウがやや高度になる傾向にあります。
そのため、大型の製品や複雑な形状でも成形実績があるか、品質保証体制が整っているかなどを必ず確認しましょう。
圧空成形の特徴を活かすには、金型製作だけでなく、材料選定や仕上げ技術に至るまでのトータルな技術力が求められます。
ポイント3:納期・コスト管理が明確であること
複数の工程が絡むプラスチック成形では、短納期での対応力やコスト管理の透明性が重要です。
圧空成形・真空成形は大ロットでも効率的に製造が進みますが、小ロットの場合には金型費用や準備工数が重くのしかかるケースもあります。
発注前に、見積もりやスケジュール管理がどのように行われるかをしっかりヒアリングしておくことで、予期せぬトラブルを回避しやすくなります。
圧空成形・真空成形を日本全国でサポートできる当社の強み

当社は、圧空成形のメリットを最大限に活かしつつ、真空成形との比較検討も含めた柔軟なサポート体制を全国対応でご提供しています。
ここからは、当社が選ばれている理由や具体的な強みについてご紹介します。
デザイン・設計段階からの提案力
製品の目的や使用環境をヒアリングし、それに応じて圧空成形が適しているのか、あるいは真空成形が向いているのかを包括的に検討します。
さらに、成形後の機能性や意匠性など、トータルでのバランスを考慮した金型設計を行うため、試作段階でも無駄が少なくスムーズに進行します。
このプロセスによって、完成度の高い部品を効率よく開発することが可能です。
高品質・短納期・コスト最適化
当社は、最新の圧空成形機と豊富な実績を有しており、複雑形状や大型サイズの部品でも安定した品質を確保できます。
納期面では、社内一貫生産体制と独自のスケジュール管理システムにより、確実なリードタイムをお約束します。
コストに関しても、材料選定や成形条件の最適化を通じてムダのない提案を行い、大量生産・小ロット生産どちらにも柔軟に対応可能です。
丁寧なコミュニケーション
圧空成形や真空成形を初めて依頼される企業の方にも安心していただけるよう、専門用語をかみ砕いてご説明します。
何度も打ち合わせを重ねることを厭わず、設計変更や追加要望などにも迅速に対応するのが当社のスタンスです。
最終的な完成形をイメージしながら、デザイン・設計上の懸念点や量産時の課題を事前に洗い出し、トラブルの未然防止に努めています。
真空成形・圧空成形のおすすめ会社2選

真空成形は金型コストが比較的低く、試作から量産までスピーディーに移行できる加工法です。
とはいえ、「どの会社へ依頼すれば納期・品質・コストのバランスが取れるのか」が悩みどころです。そこで今回は、全国対応で評価の高い2社を厳選しました。
第一プラスチック株式会社

引用元:第一プラスチック公式HP
会社名 | 第一プラスチック株式会社 |
所在地 | 〒581-0043 大阪府八尾市空港1-133 |
電話番号 | 072-949-6686 |
公式サイトURL | https://www.daiichiplastic.co.jp/ |
第一プラスチック株式会社は1968年に創業、1974年に法人化して以来、50年以上にわたり真空成形・圧空成形の専門メーカーとして技術を磨いてきました。
本社を置く大阪府八尾市には開発センターを併設した基幹工場があり、近年増設した最新鋭ラインを備える新工場と合わせて、年間数千件規模の試作・量産をこなす生産体制を確立しています。
同社最大の強みは、1500×2000mmクラスの厚物シートを一度に成形できる大型真空成形機と、それを支える温度管理システムです。
これにより自動車用インパネや産業機械の外装カバー、都市景観用サインなど、面積も深さも大きい製品を高精度に加工可能。
さらにNCトリミング機を8台保有し、成形後の曲面切削や開口加工、寸法測定まで社内完結できるため、外注に伴う輸送コストや品質バラつきを抑えられます。
加工バリエーションも豊富で、真空成形とフィルムインサートを組み合わせて意匠フィルムを封入した高級感のある表面加飾を行ったり、プラグアシストを用いて深絞り時の肉厚ムラを防止した医療機器筐体を製作したりと、多品種少量から量産まで柔軟に提案。
PET、PC、ABS、PMMAほか数十種の樹脂に加え、機能性フィルムや難燃グレード材の評価設備も整えており、研究段階の素材テストから量産立ち上げまで一貫対応します。
ワンストップ体制は設計段階から始まり、3D CAD/CAEによる成形シミュレーションで形状最適化と金型仕様を短期間で決定します。
社内金型工場でアルミ・鋳物・樹脂など適材を選択して高速加工し、初回サンプルまで最短2週間という事例もあります。
以降の量産ではバーコード管理された生産指示と全数検査でトレーサビリティを確保し、顧客監査にも耐え得る品質保証を実現しています。
同社のサービスフローは、アイデアスケッチ段階のデザインレビュー、真空成形最適化を前提にした形状提案、樹脂選定、金型設計、量産立ち上げ後の保守までを包括。
海外サプライヤーも巻き込みながら、多拠点同時開発を行う大手家電メーカーのプロジェクトを短期間で量産化した実績も報告されています。
完成品は関西圏だけでなく東北・関東・九州にも自社便とパートナー便を組み合わせた定温配送を実施。
粉じんを嫌う医療機器案件向けにはクリーンパッキングラインを用意し、最終工程でエアシャワー除塵を行う徹底ぶりで品質と環境への取り組みも抜かりありません。
2002年にISO9001、2005年にISO14001を取得し、エネルギー消費7%削減・廃棄シートリサイクル率95%など数値目標を伴う改善を継続。
大阪府ものづくり優良企業賞、関西モノ作り元気企業、健康経営優良法人認定といった外部評価は、顧客にとってもサプライチェーンリスクを抑える指標となっています。
社内では資格取得支援や技能競技大会への参加奨励、年間平均3.6%の昇給、業績連動型の決算賞与など人材投資を強化。
口コミサイトでは「賞与が毎年途切れず支給される」「大型機を任されるやりがいが大きい」といった声が寄せられており、技術者が定着しやすい環境が高い製品力の土台となっています。
技術相談はオンライン会議にも対応し、設計図や3Dデータを画面共有しながらその場で加工可否を即答できるスピード感が好評。
コスト試算や量産移行スケジュールも初回打ち合わせ時に提示できるため、開発期間短縮を図りたい企業にとって大きな武器となるでしょう。
サイズの制約を感じさせない量産力、多彩な加飾・機能化ノウハウ、短納期とコスト最適化を両立する一貫プロセスの第一プラスチック株式会社は、真空成形を軸に「デザイン」「性能」「スピード」を同時に求める開発部門の良きパートナーとして、全国のメーカーから厚い信頼を得ています。
第一プラスチックについてもっと詳しく知りたい方は、こちらも併せてご覧ください。
【大型真空成形】がウリの第一プラスチック株式会社 一貫製造の実力は本当か評判・口コミで調査
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひご確認ください。
株式会社荒木製作所

引用元:荒木製作所公式HP
会社名 | 株式会社荒木製作所 |
所在地 | 〒573-1132 大阪府枚方市招提田近2-2-3 |
電話番号 | 072-867-1721 |
公式サイトURL | http://www.araki-mfg.com/ |
株式会社荒木製作所は、大阪府枚方市招提田近に本社工場を構え、1933年創業以来90年以上にわたりプラスチック加工の最前線を走り続けてきた老舗メーカーです。
真空成形と外圧を加える圧空成形を得意とし、シート加熱から成形、NCトリミング、検査、梱包までを一貫して自社で行うことで、多品種少量生産でも高精度かつ短納期を実現。
医療機器・計測機器・電子機器用カバーのように微細な寸法公差と鏡面外観が同時に求められる案件で多数の実績を持ち、難燃・耐薬品・耐衝撃といった機能樹脂の物性を踏まえた材料選定力にも定評があります。
最大の強みは「少ロットへの柔軟対応」です。
JIT思想を導入した一個流し生産方式に近い生産管理手法と、段取り替え作業時間を最小化する工場レイアウトによって、数十個規模の試作から量産へのスムーズな切替えが可能。
金型着手前にに肉厚・抜き勾配・リブ配置を3Dシミュレーションで検証する独自フローで、手戻りと材料ロスを抑えながら立上げ後の歩留まりを高水準で維持しています。
またプロダクトデザイン・構造設計の内製化により、コストと機能を両立させた最適形状を開発段階から提案できる点も、顧客から高く評価される理由の一つです。。
設備面では、1300×2000 mmクラスの大型圧空成形プレス機をはじめ、深絞り品でもシワや白化を抑えるプラグアシスト機構付き真空成形機、五軸NCトリミング機など最新設備を順次導入。
熱可塑性樹脂の厚物成形に加え、薄物シートの真空成形や複合材とのハイブリッド成形にも挑戦し、応用範囲を広げています。
材料面ではABS・PC・PVC・PET・PP・アクリルなど汎用樹脂に加え、難燃グレードや帯電防止グレード、医療グレードの採用実績も豊富で、用途に合わせた性能保証が可能です。
品質へのこだわりも徹底しており、ISO9001・ISO14001取得と全製品へのシリアルナンバー貼付で原料ロットや加工条件まで遡及できるトレーサビリティを確保。
さらに顧客満足度調査・クレーム発生率・納期遵守率の開示により、フィードバックを基にした改善サイクルを高速で回す姿勢が取引先の信頼を支えています。
環境面でも端材リサイクルや省エネ運転、VOC排出量削減といった取り組みを通じ、製造プロセスのサステナビリティ向上に注力。
こうした活動は大阪ものづくり優良企業賞や中小企業庁長官表彰、中小企業合理化モデル工場指定など数々の受賞歴に結実し、国内外のモノづくり企業からパートナーとして選ばれる大きな要因となっています。
開発試作で機動力を求めるスタートアップから、品質保証体制を重視する大手医療機器メーカーまで幅広い顧客層が同社の技術とサービスを高く評価。
アフターサービスとして図面やモデルデータの保管、追加生産時の型メンテナンス、成形条件の再現保証も行うため、長期的に安定した供給体制を維持できる点も魅力です。
全国どこからでもオンライン打合せや短期発送に対応し、公式サイトでは設備写真や採用事例を随時更新。
問い合わせは電話・メールのほかCADデータ添付フォームから24時間受付しており、タイトな開発スケジュールでも迅速に検討を開始できます。
真空成形・圧空成形の導入を検討する際、品質・納期・コストを妥協できない開発担当者にとって、株式会社荒木製作所は最適な協力先となるでしょう。
荒木製作所についてもっと詳しく知りたい方は、こちらも併せてご覧ください。
まとめ

圧空成形は真空成形との比較でも、より高い圧力をかけられる分だけ精密な仕上がりが期待でき、短納期やコスト削減にもつながりやすいのが特徴です。
特に、複雑な形状を持つ製品や大量生産で品質の安定を求める場合に、圧空成形のメリットや効果は大きく発揮されます。
一方で、圧空成形にも高度な設備や金型設計が求められるため、優良業者選びは非常に重要です。
当社では、設計段階からのアドバイスや短納期対応、コスト管理を含めたトータルサポートを全国対応で行い、圧空成形の持つ強みを最大限に引き出します。
新しい製品開発や既存製品の改良、品質アップを検討されている方は、ぜひ当社までご相談ください。
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